いつ どこで / When Where
小学生の頃、数人の友達と”新聞ゲーム”という遊びをしていた
それは、
《いつ / どこで / 誰が / 何をした》
という文章を完成させるゲームで、
一人が 《いつ》の項目を記入したら、書き込んだ部分を隠して次の人に回し、
次の人は《どこで》を記入していく、それを繰り返して作文を作る遊びだった
接続を予想しなかった単語が繋がると、そこには予想外の物語が立ち現れる
想像の空間が一気に広がることに興奮した感覚を覚えている
CAGE GALLERYの付近には坂が多く、江戸時代以前から存在しているものも多い
また、橋は所々にあり、今はなくなり名前だけが残っているものもある
道は名前が変わったり、新しくつくられたり、
きっとこれからもつくられる
地形に沿った傾斜や、もともと人が通れなかった場所、人が通りやすかった場所
それは人がいつか、名前をつけたことで坂、橋、道になった
坂や道の名前は誰かの言葉の中で発せられ、記され、思い出され
これからもそこにあり続ける、もしくは、いつかあった場所になる
そして、あの時あの道での出来事が
それぞれの”物語”として記憶されたり、未来の予定として存在する
ホンダチヒロ
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CAGE GALLERY は、3月18日(土)よりホンダチヒロ「いつ どこで / When Where」を開催いたします。
ホンダチヒロは1989年神奈川県生まれ。グラフィックデザイナーとして活動しながら、インスタレーションや彫刻による展示、アーティストレジデンスなどへの参加を通して作品を発表しています。
時間や場所をめぐるホンダの作品は、「いま/ここ」という根源的な問いであるとともに、その裏返しを目論むひそやかな遊びとして立ち上がります。
本展「いつ どこで / When Where」では、二つの電光掲示板のような装置を各窓に配置し、表示されては消える「いつ」と「どこ」の単語がランダムに組み合わさります。生まれる言葉から、私たちは無数の意味を紡ぐことができるでしょう。それは言葉が喚起した力による誘導であり、始まりも終わりも正誤もない、反響する空洞を作り出すようです。
ホンダチヒロによる「いつ どこで / When Where」を是非この機会にご覧ください。
展示概要
いつ どこで / When Where
会期: 2023年3月18日(土) – 2023年5月17日(水) 5月24日(水)※会期延長
点灯時間: 11:00 – 20:00
会場: CAGE GALLERY
ハンドアウト:ギャラリー向かいのHender Scheme「スキマ」内
技術協力:稲福孝信(HAUS)
Technical support: Takanobu Inafuku ( HAUS )
ホンダチヒロ / Chihiro Honda
1989年、神奈川県生まれ。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒業。2018-2019年、BankART1929が運営していたR16studio参加。2020年、ALTERNATIVE SPACE The White にて初個展「矩形の空洞」を開催。2022年3-4月榛名湖アーティストレジデンス滞在。“時間” “場所性”について追求するため、鉄などのマテリアルを使用した立体作品をはじめ、写真や映像、紙媒体などを用い、空間にアプローチした制作を行う。